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「とりあえず冷やす」はもう古い? サッカー現場で知っておきたいケガの新しい応急処置「PEACE & LOVE」

R8.7.8アイキャッチ② 指導者として

サッカーでは、足首の捻挫や太ももの肉離れなど、突然のケガは避けられません。

これまでケガをしたら「RICE(ライス)処置」が基本と教わった方も多いのではないでしょうか。

・とりあえず冷やす
・安静にする
・包帯で圧迫する
・足を高く上げる

この方法は長年、スポーツ現場の常識として広く知られてきました。

しかし近年、スポーツ医学の研究が進み、現在では「PEACE & LOVE(ピース アンド ラブ)」という新しい考え方が世界中で注目されています。

今回は、サッカーの指導者や保護者の皆さんにもぜひ知っていただきたい「PEACE & LOVE」についてご紹介します。

なぜRICE処置から変わったのでしょう?

RICE処置は決して間違いではありません。

しかし近年の研究では、「炎症は悪いものではなく、ケガを治すために必要な反応である」ことが分かってきました。

また、「長く安静にし過ぎると回復が遅れる」ことも明らかになっています。

つまり、ケガを早く治すためには、身体が本来持っている治る力を邪魔しないことが大切なのです。

そこで提唱されたのが「PEACE & LOVE」という考え方です。

ケガをした直後は「PEACE」

P(Protect) 保護する

ケガをした直後は無理をせず患部を守ります。

無理にプレーを続けると損傷が大きくなる可能性があります。

必要に応じてテーピングやサポーターを使用し、痛みが強い場合はプレーを中止しましょう。

E(Elevate) 高く上げる

患部を心臓より高く上げることで腫れを軽減します。

例えば足首の捻挫なら、横になってクッションの上に足を乗せるだけでも効果があります。

A(Avoid anti-inflammatory modalities) 過度に炎症を抑えない

ここが一番大きく変わったポイントです。

以前は「とにかく冷やす」が常識でした。

しかし現在では、炎症は傷ついた組織を修復するために必要な働きだと考えられています。

もちろん痛みが強い場合は、10~15分程度冷やして痛みを和らげることはあります。

ただし、「冷やせば早く治る」という考え方ではなくなっています。

また、市販の痛み止めや消炎鎮痛薬も自己判断で使用するのではなく、必要に応じて医師の指示を受けることが勧められています。

C(Compression) 圧迫する

弾性包帯やテーピングなどで適度に圧迫します。

腫れを抑える効果がありますが、締め付けすぎには注意が必要です。

指先の色が悪くなったり、しびれたりする場合は緩めましょう。

E(Educate) 正しい知識を持つ

実はこれもとても大切です。

「早く試合に出たい。」

「もう痛くないから大丈夫。」

そんな気持ちから無理をすると、再びケガをしてしまうことがあります。

ケガを正しく理解し、焦らず回復を待つことが、結果として早い復帰につながります。

回復期は「LOVE」

数日経ち、痛みや腫れが落ち着いてきたら「LOVE」の考え方へ移ります。

L(Load) 少しずつ動かす

完全な安静を続けるのではなく、痛みのない範囲で少しずつ動かしていきます。

歩くことや軽いストレッチなど、適切な刺激を与えることで組織はより良く回復します。

O(Optimism) 前向きな気持ち

意外かもしれませんが、心の状態も回復には大きく影響します。

「またケガをするかもしれない」

という不安が強いと、身体の回復にも影響すると言われています。

指導者や保護者が前向きな声掛けをすることも、立派なサポートになります。

V(Vascularisation) 軽い有酸素運動

ウォーキングやエアロバイクなど、痛みのない範囲で身体を動かすことで血流が良くなり、回復を助けます。

患部だけでなく全身のコンディション維持にもつながります。

E(Exercise) 段階的なリハビリ

競技復帰に向けて、

・関節を動かす練習
・筋力トレーニング
・バランストレーニング
・ランニング
・ボールを使った練習

というように段階的にレベルを上げていきます。

ここを焦らないことが再発予防には非常に重要です。

指導者・保護者に知っておいてほしいこと

ジュニア年代では、

「試合に出たい」

「レギュラーを外れたくない」

という気持ちから、子ども自身が痛みを隠してしまうことも少なくありません。

そんな時こそ、大人が冷静に判断することが大切です。

無理にプレーを続けることで、小さなケガが大きなケガへつながることもあります。

一方で、「しばらく何もさせない」という過度な安静も、回復を遅らせる可能性があります。

大切なのは「守る時期」と「動かす時期」を見極めること。

PEACE & LOVEは、その判断を助けてくれる新しい考え方です。

まとめ

サッカー現場で長年使われてきたRICE処置は、現在では「PEACE & LOVE」という新しい考え方へと進化しています。

「とりあえず冷やす」「とにかく安静」という時代から、「身体が本来持つ治る力を大切にし、適切なタイミングで動かしていく」という考え方へ変わってきています。

もちろん、強い痛みや変形、体重をかけられないほどのケガの場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診することが最優先です。

子どもたちが安心してサッカーを楽しみ、できるだけ早く、そして安全にピッチへ戻れるように。

指導者や保護者の皆さんも、この「PEACE & LOVE」をぜひ知っておいていただければと思います。

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